15年9月県議会 一般質問と討論

最終日討論:

 まず請願第23号「愛南町の巨大風車に関する請願」を「不採択」とした委員会の審査結果に対する、反対討論を行います。

 この請願では、愛南町において民間企業が高さ120メートルの巨大風車を、里山に8基建設しようとしているが、建設に伴う大規模な森林破壊や、生態系豊かな御荘湾の汚染、巨大風車からの低周波による健康障害の発生などが指摘されています。

 現在、南予において、多数の巨大風車の計画がありますが、住民の納得が得られないまま強行されており、紛争を引き起こしています。

 よって、県議会は、本請願を採択するとともに、巨大風車による環境破壊の実態を現地調査するべきであります。


 次に伊方原発の再稼働に反対する56件の請願全てを「不採択」とした特別委員会の審査、および議発第16号議案「伊方原発の再稼働に関する決議案」に反対し討論を行います。


  これら56件の請願は、愛媛のみならず高知、香川、徳島、広島、山口、大分など、伊方原発の事故の際には、放射能で汚染されることが確実な近県から提出されたものであります。

 これらの請願の趣旨は、「放射線被曝を前提にした避難計画を見直すこと」「再稼働の是非を問う住民投票を実施すること」「多様な立場の専門家による公開討論会を開催すること」などの観点から原発の再稼働を認めないよう県議会に求めるものであり、いずれも当然採択されるべき市民の痛切な願いの結晶であります。


  ところでこれらの請願の検討には、フクシマの現状を確認することが重要です。


① まず原発避難者の救済のためには避難所の状況調査が不可欠ですが、驚いたことに、政府は実態を把握する仕組みは設けていません。そのため自主避難者については、避難者としてカウントされず、法的支援を全く受けていないのです。


② また政府が本年6月に公表した「福島復興の加速に向けての指針」によれば、遅くとも2017年3月までに帰還困難区域を除く全ての地域に対して避難指示を解除し、そして解除1年後には避難者に対する損害賠償を打ち切る方針であります。

 つまり政府は一方的に事故対応の期間を、事故後6年と限定し、それ以後は、避難生活の継続を認めず、汚染された故郷に帰ることを、事実上強制しているのです。このような人道にそむく手段をさして、「復興の加速」と称する事は、避難者の切り捨て以外の何者でもありません。


③ また国の賠償審査会の方針や東電の賠償のあり方を見ると賠償金支払いの遅れ、規制区域の不合理な線引きによる分担などにより、避難者らは不当な格差に苦しみ、法廷闘争を強いられている現実があります。


④ さらに、福島県の子どもの甲状腺ガンの発症率が通常の50倍以上になっている現在においても、政府は、ガンの原因を、被曝と認めず、政府自らの、事故の責任に、正面から向き合うことを避けています。

 「伊方原発の事故の時には責任をもって対処する」と口にしたという安倍首相の言葉の空虚さを、以上のような福島の現実が暴いています。

よって「責任を持つ」といった、その安倍首相の言葉に、具体的な実態が伴っているのかどうかを、知事はきちんと確認し、その内容を県民に公表する必要があることを指摘します。


⑤ ところで福島の長期化する避難生活での不安は、「健康と住まいの不安定さ」と、多くの避難者が答えています。安定した住宅がなければ、生活を維持できず、避難生活の見通しがつかなければ、未来を見据えて、目的を持って生き、人間らしい精神の安定を保つことはできません。


⑥ また放射線の被害は10年単位で続くことになり、その影響がいつ終わるのか明らかではありません。そんな原発災害の特性を踏まえるならば、本当に重要な事は、避難した後に続く生活であります。現在も続いている福島における原発事故と、今もなお苦悩の渦中にいる原発避難者の存在は、 原発と避難問題の不条理を私たちに伝えているのであり、伊方原発を抱える愛媛県民への警告なのだと、私は痛感しています。


●私たち大人にはフクシマで被曝させられている子どもたちを救い出す、責任があります。


●私たちには二度と原発からの放射能にさらされることがないように、すべての子どもたちを守り抜く、責任があります。


●そして同時代を生きる私たち大人には、将来の世代へ、原発という大きなツケを、決してまわさないという、責任があります。


 そのための闘いは、今、始まったばかりです。